カウントダウンタイマーと景品表示法|「残り○時間」が有利誤認にならない使い方
「セール終了まで あと02:13:45」。カウントダウンタイマーは、迷っているお客さまの背中を押す強い表示です。そのぶん、締め切りが本当でなければ、お客さまをだます表示にもなります。期限を過ぎても同じ価格で買えるセールや、ページを開くたびに最初から始まるタイマーがその例です。この記事では、景品表示法の「有利誤認表示」とカウントダウンの関係を消費者庁の資料で確かめ、ネットショップのポップアップで安全に使う手順と表記のチェックリストをまとめます。
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カウントダウンが問題になるのは「期限がうそ」のとき
景品表示法の第5条第2号は、商品の価格その他の取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示を禁じています。いわゆる有利誤認表示です。「この価格は10月20日23:59まで」という期限は、価格と同じく取引条件の一部です。
タイマーそのものが禁じられているわけではありません。問題になるのは、表示された期限と実際の取引条件が食い違う場合です。たとえば次のような使い方は、「今申し込まないと損をする」と思わせながら、実際にはそうではありません。
- 期限を過ぎても同じ割引が続く。タイマーが0になったあとも、同じ価格で買える。
- 期限が来るたびに延長する。「本日23:59まで」を毎日表示し続ける。
- 見るたびにタイマーが最初から始まる。ページを開き直すと、また「残り15分」から数え始める。
- 終了後の価格に戻す予定がない。「セール終了後は通常価格8,800円」と書いたが、終了後も8,800円で売る予定がない。
消費者庁の措置命令にある「期限限定表示」
実際に、期限の表示が有利誤認とされた例があります。消費者庁は2024年7月19日、通信講座を提供する株式会社キャリカレに対して景品表示法に基づく措置命令を出しました。公表資料では、問題とされた表示の一つを「期限限定表示」としています。
公表資料によると、同社は自社サイトで、たとえば「1/24 23:59まで お正月キャンペーン 35%OFF」などと表示し、その期限内に申し込んだ場合に限って割引価格で受講できるかのように示していました。しかし実際には、期限後に申し込んでも同じ割引価格で受講できた、とされています。消費者庁は、これが実際のものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認される表示にあたるとしました。
この例にはタイマーは出てきませんが、構造はカウントダウンとまったく同じです。タイマーは期限を秒単位で強調するので、期限が本当でなければ、文字だけの表示よりも強く誤認させるおそれがあります。
「セール終了後は○円」と書くときの注意
カウントダウンは、「セール終了後は通常価格に戻ります」のような将来の価格と並べて使われることがよくあります。消費者庁の「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(価格表示ガイドライン)は、将来の販売価格を比較対照価格にする二重価格表示について、表示した将来の価格に十分な根拠がない場合(実際に販売することのない価格であるときや、ごく短期間のみその価格で販売するにすぎないときなど)には、不当表示に該当するおそれがあるとしています。
さらに「将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示に対する執行方針」(令和2年12月25日)は、セール後にその価格で販売する確実な予定(合理的かつ確実に実施される販売計画)を、セール期間を通じて持っている必要があるとしています。また、「現在セール中にて300円、セール終了後は500円」のように具体的なセールの期間や期限を示さない表示は、それだけで販売計画を持っていなかったことが強く疑われるので、具体的な期間や期限を示すことが望ましい、とも書かれています。
つまり、将来の価格を書くなら、期限ははっきり書くべきで、その期限のあとは本当にその価格で売る、ということです。期限をあいまいにしたまま「今だけ」をあおる表示は、二重に問題を抱えます。
なお、同じガイドラインは、特定の商品について一定の営業時間に限って値下げするタイムサービスで、当初の表示価格と並べる二重価格表示は、通常は不当表示に該当するおそれはないとしています。時間を区切ったセールそのものは、ふつうの販売方法です。また、セール前の「通常価格」と並べる場合は、その価格で最近相当期間にわたって販売していたことが前提になります(ガイドラインは目安として、その価格での販売期間が過半を占め、通算2週間以上であることなどを挙げています)。消費者庁の「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」にも、販売実績のない「通常価格」と割引後の価格を並べた表示が問題となる事例が載っています。
marketingLABOのカウントダウンは2種類
marketingLABOのポップアップバナーでは、形として「カウントダウン付き」を選べます。エディタでカウントダウンを置くと、タイプを2つから選べます。動き方がまったく違うので、先に違いを押さえてください。
| タイプ | 動き方 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| 指定の日時で終了する | 設定した終了日時に向けて、誰が・いつ見ても同じ締め切りまでの残り時間を表示する。0になると終了メッセージ(初期値は「キャンペーンは終了しました」)に切り替わる | セール・クーポン・送料無料キャンペーンなど、締め切りがあるものすべて |
| 表示された時から指定の時間後に終了する | バナーが表示されたときから、指定した分・秒を数える。ページを開き直したり、次に訪れたりすると、また最初の時間から数え直す | セールやクーポンの締め切りには使わない |
2つめのタイプは、見るたびにリセットされます。お客さまが「残り15分」を見て一度ページを離れ、翌日に戻ってくると、また「残り15分」から始まります。期限が来ても何も終わらないのに、終わるかのように見せることになるので、上で見た「期限がうそ」の表示そのものです。
では、2つめのタイプはどんなときに使えるのか。表示から数分で本当にその人の特典が終わる仕組みがあれば、表示と実際は一致します。ただし、marketingLABOはカートと連携していないため、1人ずつ有効期限の違うクーポンコードを発行したり、表示から15分で使えなくしたりはできません。marketingLABOだけでセールやクーポンを案内するときは、1つめの「指定の日時で終了する」を使ってください。
手順1:締め切りを先に決めて、カート側で止める
タイマーは、締め切りを「知らせる」だけです。締め切りで価格を元に戻したり、クーポンを使えなくしたりするのは、カートシステムの設定です。順番を逆にしないことが大切です。
- 締め切りの日時を決めます。「10月20日(月)23:59」のように分まで決め、社内で共有します。
- カートシステムでセールやクーポンの終了日時を設定します。セール価格の終了、クーポンの有効期限、送料無料の終了など、実際の条件が締め切りで終わるようにします。
- セール後の価格を書くなら、その価格で売る計画を確かめます。終了後に戻す価格と、それで販売を続ける予定を記録しておきます。
- 延長しない前提で計画します。締め切りのあとに同じ条件で続けると、措置命令の例と同じ形になります。
手順2:バナーに締め切りを設定する
- テンプレートを選びます。EC向けテンプレート55種類のうち、「セール・期間限定」や「クーポン・割引」の分類から選び、文言と色を直します。
- カウントダウンを置き、タイプを「指定の日時で終了する」にします。終了時刻に、手順1で決めた締め切りを入れます。
- 終了メッセージを書きます。「このセールは10月20日23:59で終了しました」のように、何が終わったのかが分かる文にします。
- 表示期間を設定します。タイマーが0になっても、バナーは表示期間が終わるまで出続けます。表示期間の終わりを締め切りと同じ日時にすると、終了後に古いセールのバナーが残りません。
- 文字でも締め切りを書きます。タイマーの近くに「10月20日(月)23:59まで」と書きます。
文字で書くのには理由があります。残り時間は、見ている人の端末の時計をもとに計算されます。端末の時計がずれていたり、海外から見ていたりすると、表示される残り時間がずれることがあります。日本向けのショップなら「(日本時間)」と添えておくと誤解がありません。
出す相手とタイミングも決めます。marketingLABOでは、表示するページ、訪問回数、前回の訪問からの日数、見た・見ていないページ、アクセス元、スクロール、滞在時間、離脱しそうなときを組み合わせられます。全員に全ページで出し続けるより、セール対象の商品ページを読んでいる人や、帰ろうとしている人に絞るほうが、しつこくなりません。離脱しそうなときの出し方は、<a href="/ja/blog/exit-intent-popup/">離脱防止ポップアップの仕組みと出し方</a>で説明しています。
手順3:公開前と締め切り後に確かめる
- 公開前:スマホとパソコンでバナーを開き、残り時間が締め切りと合っているか、ページを開き直しても数え直されないかを見ます。
- 公開前:バナー、商品ページ、カート、メルマガ、広告で、締め切りの日時と割引の条件が同じかを確かめます。
- 締め切り直後:実際に購入手続きを進め、セール価格やクーポンが使えなくなっているかを確かめます。
- 締め切り直後:バナーが消えている(または終了メッセージになっている)ことを確かめます。
表記の書き方
| 避けたい書き方 | おすすめの書き方 | 理由 |
|---|---|---|
| 今だけ! | 10月20日(月)23:59まで | 「今」がいつまでか分からない |
| セール終了後は通常価格に戻ります | 10月20日23:59まで20%オフ。10月21日0:00から8,800円(税込) | 期限と終了後の価格が具体的 |
| 本日限り(毎日表示) | 本当に1日だけのセールのときだけ使う | 毎日続けば「本日限り」ではない |
| 残りわずか! | (在庫の数を確かめて書けないなら書かない) | 根拠を示せない「限定」はあおりになる |
割引の条件(対象商品・最低金額・1人1回など)は、タイマーと同じバナーの中に読める大きさで書きます。条件を離れた場所に回す表示の考え方は、送料無料のお知らせはどこに出すかの「景品表示法との関係」で、消費者庁の資料とともに説明しています。
公開前チェックリスト
- 締め切りの日時が分まで決まっていて、カートシステムでその日時に実際に終わる。
- カウントダウンのタイプが「指定の日時で終了する」になっている。
- タイマーの近くに、締め切りの日時を文字でも書いている。
- バナーの表示期間の終わりが、締め切りと同じ日時になっている。
- 終了メッセージが、何が終わったかの分かる文になっている。
- 「セール後は○円」と書いたなら、その価格で売る計画がある。
- 「通常価格」と並べるなら、その価格で最近相当期間にわたって販売していた。
- 延長や、同じ条件の再開をしない。
よくある質問
タイムセールを毎週同じ曜日にやるのは問題ですか?
価格表示ガイドラインは、一定の営業時間に限って値下げするタイムサービスで当初の価格と並べる表示は、通常は不当表示に該当するおそれはないとしています。毎週決まったセールでも、表示した時間の外では本当にその価格で買えないこと、「通常価格」がふだん実際に売っている価格であることが前提です。
締め切り後に売れ残ったので、延長してもいいですか?
延長すると、最初の締め切りの表示が実際と違っていたことになります。措置命令の例でも、問題とされたのは「期限後に申し込んでも同じ割引価格で受講できた」ことでした。迷う場合は、延長するのではなく、別の条件の新しい企画として設計し直し、専門家に相談してください。
「表示から15分」のタイマーは絶対に使ってはいけませんか?
タイマーが0になったら本当にその人の特典が終わるなら、表示と実際は一致します。ただ、それにはカート側で1人ずつ期限の違うクーポンを発行し、時間で使えなくする仕組みが必要で、marketingLABOだけではできません。セールやクーポンの締め切りには使わないでください。
タイマーが0になったあと、バナーはどうなりますか?
「指定の日時で終了する」タイプは、0になると終了メッセージに切り替わります。バナー自体は表示期間が終わるまで出るので、表示期間を締め切りに合わせてください。
カウントダウン付きのポップアップは、フリープランでも1つ公開できます。ライトプラン(月4,800円・税込)では3つ、スタンダードプラン(月9,800円・税込)では無制限です(料金)。クーポンを配るときの景品表示法の考え方は、クーポンは景品表示法の「景品」になる?で説明しています。まずは無料で登録して、締め切りのあるセールで試してみてください。
参考にした資料
- e-Gov法令検索「不当景品類及び不当表示防止法」第5条(2026年10月12日確認): https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000134
- 消費者庁「株式会社キャリカレに対する景品表示法に基づく措置命令について」(令和6年7月19日。2026年10月12日確認): https://www.caa.go.jp/notice/entry/038627/、本文: https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_cms210_240719_01.pdf
- 消費者庁「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(平成12年6月30日公正取引委員会、平成28年4月1日消費者庁改定。2026年10月12日確認): https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/pdf/100121premiums_35.pdf
- 消費者庁「将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示に対する執行方針」(令和2年12月25日。2026年10月12日確認): https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/assets/representation_cms216_201225_01.pdf
- 消費者庁「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」(令和4年6月29日一部改定。2026年10月12日確認): https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/assets/representation_cms216_220629_07.pdf
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