送料無料のお知らせはどこに出すか|帯・ポップアップの使い分けと書き方
送料無料のお知らせは、お客さまが送料に驚く前に目に入って、はじめて役に立ちます。そして、バナーに書いた条件と、カートや購入手続きの画面で実際に計算される送料が一致していることが前提です。この記事では、送料無料の条件の決め方と書き方、帯とポップアップの使い分け、出す場所とタイミング、表示で気をつけたい点を、消費者庁の資料も確かめながら順に説明します。
更新

送料は、購入手続きの前に伝える
米国の調査機関Baymard Instituteのカゴ落ちの統計(最終更新2025年9月22日、2026年10月12日確認)では、米国のネット通販利用者が購入手続き中にやめた理由として、「送料・税・手数料などの追加費用が高すぎた」が40%で最も多く、「合計金額を先に確認・計算できなかった」も12%ありました(「見ていただけ」の人を除いた理由。複数回答)。
送料無料のお知らせは、送料の決まりを早めに伝え、送料をかけずに買う方法も示せるので、この二つに同時に応えます。反対に「送料無料」とだけ書き、4,000円の注文で600円の送料が出てくれば、驚きに約束違反が重なります。
手順1:送料無料の条件を一文で書き出す
デザインの前に、カートシステムが実際に計算している条件を一文で書き出します。
| 種類 | 条件の例 | バナーで必ず伝えること |
|---|---|---|
| 金額で無料 | 5,000円(税込)以上のご注文で送料無料 | 金額と、税込か税抜か |
| 全品無料 | 全国どこでも送料無料 | 対象の地域(離島などの例外) |
| 期間限定 | 10月20日23:59のご注文まで送料無料 | 本当の終了日時 |
| 会員限定 | 会員さまは送料無料 | 会員登録が必要なことと、その方法 |
| 商品限定 | 定期便は送料無料 | どの商品が対象か |
金額で無料にする場合は、次の点を決めてから文言を作ります。どれも書き方が変わるからです。
- クーポンを使う前か後か。5,500円の注文がクーポンで4,500円になったとき、送料無料のままかどうか。
- 税込か税抜か。「5,000円以上」とだけ書くと、どちらか分かりません。
- どの配送方法か。通常便だけが無料で、日時指定や速達は別料金ということはよくあります。
- どの地域か。沖縄・離島を除く、などの例外があるか。
- 対象外の商品はあるか。大型商品、別配送の商品、予約商品など。
送料無料ラインの金額の決め方
ふだんの注文額よりずっと高いラインは無視され、ほとんどの注文がすでに超えているラインは送料を負担するだけになります。正解の数字はないので、自分の注文データで決めます。
- 注文額の分布を見ます。平均だけでなく、何円台の注文が多いかを直近数か月分で確かめます。
- 1件あたりの実際の送料を出します。運賃・梱包材・作業の手間まで含めた、お店が代わりに負担する金額です。
- もう1品足したときの利益を確かめます。ラインを超えるために足された商品の利益で、負担する送料をまかなえるかを見ます。
- 届く距離にします。よくあるカートの金額から、手ごろな商品を1つ足せば超えられる距離が目安です。
架空の数字で計算の形だけ示します。送料の負担が1件700円、足される商品の利益が1,000円なら、その注文はラインを超えても300円残ります。足される商品の利益が500円なら、1件ごとに200円の持ち出しです。公開する前に、自分の数字で同じ計算をしてください。
手順2:条件の書き方
金額・税込かどうか・主な条件は、バナーの中に書きます。「※」を付けて別の場所に回さないのが基本です。
| あいまいな書き方 | 分かりやすい書き方 | 理由 |
|---|---|---|
| 送料無料!※ | 5,000円(税込)以上のご注文で送料無料 | 金額と条件が「無料」のすぐ隣にある |
| 5,000円で送料無料 | 5,000円(税込)以上で送料無料 | 「以上」か「超え」かが分かる |
| ほとんどの商品が送料無料 | 5,000円以上で送料無料(大型家具を除く) | 「ほとんど」では確かめに行く必要がある |
| 今週は送料無料 | 10月20日(月)23:59のご注文まで送料無料 | あいまいな期間ではなく本当の締め切り |
「5,000円以上」は5,000円ちょうどを含み、「5,000円を超える」は含みません。カートシステムの判定と同じ言葉を使ってください。
景品表示法との関係
景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)の第5条第2号は、価格その他の取引条件について、実際のものなどより著しく有利であると一般消費者に誤認される表示を禁じています(いわゆる有利誤認表示)。送料は取引条件の一つです。
消費者庁のサイトに掲載されている「消費者向け電子商取引における表示についての景品表示法上の問題点と留意事項」(公正取引委員会、平成14年、平成15年一部改定)は、送料を取引条件の一つに挙げ、具体的な内容を正確かつ明瞭に表示する必要があるとしています。そのうえで問題となる例として、「送料無料」と強調し、「送料が無料になるのは東京都内だけ」という条件を小さな文字のリンク先に置いた結果、どこでも送料無料のように誤認される場合を挙げています。リンクを使うなら、具体的な言葉で、目立つように、関連する表示の近くに置く必要がある、とも書かれています。
また、消費者庁の「打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点(実態調査報告書のまとめ)」は、強調した表示の例外や条件(打消し表示)は、強調した表示に隣接した箇所に、文字の大きさの釣り合いや色・背景にも気を配って、一体として読めるように表示することを求めています。スマホについては、離れた別の画面にある表示との関係は把握しにくいため、隣接して表示することが求められる、としています。
バナーに当てはめると、「送料無料」と大きく書くなら、金額や地域などの条件を同じバナーの中に、読める大きさで書くということです。条件が帯に入りきらないなら、まず条件を単純にできないか考えます。
消費者庁の「送料無料」表示の見直し
もう一つ知っておきたいのが、物流の「2024年問題」を受けた「送料無料」表示の見直しです。消費者庁は令和5年(2023年)12月19日に考え方を公表し、「送料として商品価格以外の追加負担を求めない」旨を表示する場合、その表示者は表示について説明責任がある、としています。関係する事業者に表示の見直しを促し、自主的な取組を注視する、という内容です。
同じページのよくある質問では、「送料無料」と表示する場合は、そう表示する理由や送料を無料とする仕組みを消費者に分かりやすく説明するよう要請するものであり、ガイドラインで一律の基準を設けるものではない、特定の表示方法を推奨するものでもない、と説明されています。取組事例(令和7年7月時点)には、「送料当社負担」と言い換えた例や、「送料無料=表示価格に送料が含まれる商品」と説明を加えた例が載っています。
ショップとしては、「送料無料」のままにするか「送料当社負担」などに言い換えるかを決め、どちらでも送料の案内ページで理由や仕組みを説明し、サイト内で表記を揃えておくのが実務的です。
手順3:すべての場所で同じ条件にする
送料の決まりは、いろいろな場所に出てきます。それぞれを実際の計算と照らし合わせます。
- サイト全体の帯: 金額と条件。
- 商品ページ: 価格やカートボタンの近くの「送料無料」の表記。
- カートのページ: カートシステムが「あと○円で送料無料」を出せるなら、その表記。
- 購入手続き: 条件を満たしたとき・満たさないときに出る配送方法と送料。
- 送料の案内ページ: 例外を含めた全部の条件と、無料にしている理由。
- メルマガ・広告・キャンペーンLP: そこで約束した文言。
ラインを変えるときは、これらを同じ日に直します。忘れやすいのは古いバナーなので、表示期間を付けておくと安心です。
手順4:どこに出すか
| 置き場所 | 見る人 | 向いていること | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| サイト全体の帯 | 全員 | カートに入る前に決まりを知らせる | 見慣れて読まれなくなる。短く |
| 商品ページ(ある程度読んだあと) | 商品をじっくり見ている人 | 「送料はいくら?」に答える | スマホで価格やカートボタンを隠さない |
| 離脱しようとしたとき(モーダル) | 帰ろうとしている人 | 最後に条件をはっきり伝える | すでに見た内容の繰り返しになりやすい |
| カートを見て戻ってきた人 | カートで離れ、再訪した人 | 送料への不安を取り除く | 購入済みの人に出さない |
帯か、ポップアップか
送料無料のお知らせは、帯を基本にするのがおすすめです。文言が短く、訪問のあいだずっと当てはまり、お客さまに何かをしてもらう必要もないからです。帯ならページを覆わずに見え続けます。Google検索セントラルの煩わしいインタースティシャルやダイアログを避けるでも、ページ全体を覆うものではなく、画面のほんの一部だけを覆うバナーを使うよう勧めています。
画面の中央に重ねるモーダルは、期間限定の送料無料をカウントダウンで知らせるとき、メール登録と引き換えに送料無料にするとき、帰ろうとした人に最後に伝えるときなど、注意や行動が必要な場面に使います。着いた瞬間には出さず、閉じやすくしておきます。画面の隅に浮かべるフローティングはその中間で、商品ページで短く知らせるのに向いています。
手順5:迷っているタイミングに合わせる
- サイト全体の帯: すぐに表示します。邪魔をしないお知らせだからです。
- 商品ページのフローティング: 50%ほどスクロールしたとき、または数秒たってから。説明を読み、値段を考えている頃合いです。
- 離脱しようとしたときのモーダル: 帰ろうとしたときだけ。まだ見ていない内容があるときに限ります。
- 再訪した人: 新しい訪問の最初のページで。続きから買うかを決めるときです。
手順6:相手によって文言を分ける
| 相手 | 文言の例 |
|---|---|
| 初めて来た人 | 「5,000円(税込)以上のご注文で送料無料」と決まりをそのまま |
| カートを見たが購入完了ページを見ていない再訪者 | 「カートの商品はそのまま。5,000円以上で送料無料です」 |
| 広告から来た人 | 広告で約束したのと同じ条件・同じ言葉 |
| しばらくぶりに戻ってきた人 | 前回から変わった点(ラインを下げた、など) |
カートを見た人向けのバナーには限界があります。ページの閲覧から分かるのは「カートのページを見た」ことまでで、カートの中身や金額は分かりません。そのため「あと1,200円で送料無料」のような残り金額は、このバナーでは出せません。残り金額の表示は、カートシステムがカートのページで計算して出すものです。
デザインは「読める・短い・閉じられる」
- 帯は一行で。決まりだけを書き、例外の細部は送料の案内ページへ。ただし金額と主な条件は帯に残します。
- スマホで確かめる。帯で商品写真と価格が画面の下に押し出されないか、フローティングがカートボタンにかぶらないかを、小さめのスマホで見ます。
- 閉じやすく。モーダルとフローティングには見える閉じるボタンを付けます。marketingLABOのポップアップはキーボードで操作でき、読み上げにも対応しています。
marketingLABOでの設定
marketingLABOは、全ページのheadに貼った計測タグ1行でバナーを出します。サイトのHTMLを直す必要はありません。EC向けテンプレート55種類の中に「送料無料」と「お知らせの帯」の分類があります。上の置き場所は、たとえば次のように設定します。
- サイト全体の帯。「お知らせの帯」か「送料無料」のテンプレートから始め、出し方を帯にして一行の条件を入れます。表示するページURLにサイトのトップを入れて前方一致を選べば、その配下の全ページに出ます。
- 商品ページのお知らせ。同じ文言でフローティングを作り、表示するページURLを商品ページの共通部分(前方一致)にして、スクロール50%で表示します。
- カートを見て戻った人。閲覧ページ=カートのURL、未閲覧ページ=購入完了ページのURL、サイト訪問頻度=再訪、で条件を作ります。
- 端末。すべての端末・スマホだけ・パソコンだけを選べるほか、パソコンとスマホで画像を分けられます。
- 表示期間。期間限定なら、終わる日に止まるよう表示期間を設定します。
形は「画像だけ」「画像・キャッチコピー・ボタン」「カウントダウン付き」「メール登録フォーム付き」から選べます。公開できるポップアップバナーは、フリープランで1つ、ライトプラン(月4,800円・税込)で3つ、スタンダードプラン(月9,800円・税込)で無制限です(料金)。
効果の見方
- バナーの数字。施策ごとの表示回数とクリック数が出ます。ボタン付きのバナーではクリックが目安になりますが、お知らせの帯はクリックされなくても役目を果たしていることがあります。
- お店の数字。カートシステムの注文数・平均の注文額と、ラインを少しだけ超えた注文の割合を見ます。ラインが効いていれば、ラインの少し下の注文が少し上に移ります。
marketingLABOにはバナーのA/Bテストはありません(A/Bテストはフォームの機能です)。比べたいときは、文言を期間で切り替え、条件の近い期間どうしで比べてください。
よくある質問
最初にどこへ出せばいいですか?
サイト全体の帯がいちばん簡単です。カートに入る前の全員に届きます。そのあと、商品ページに同じ文言を足します。
バナーに「あと○円で送料無料」と出せますか?
marketingLABOではできません。カートの金額を読まないためです。残り金額は、カートシステムがカートのページで出すものです。
「送料無料」という言葉は使ってはいけないのですか?
消費者庁の見直しは、表示を一律に禁止するものではなく、理由や仕組みの説明を求めるものです。言い換えるかどうかを決め、送料の案内ページで説明を用意しておきましょう。
まずは無料で登録してタグを貼り、テンプレートから送料無料の帯を作ってみてください。お客さまがカートで帰ってしまう理由全体については、カゴ落ちの原因と対策で説明しています。
参考にした資料
- Baymard Institute「Cart Abandonment Rate Statistics」(最終更新2025年9月22日、2026年10月12日確認): https://baymard.com/lists/cart-abandonment-rate
- e-Gov法令検索「不当景品類及び不当表示防止法」第5条(2026年10月12日確認): https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000134
- 消費者庁(公正取引委員会作成)「消費者向け電子商取引における表示についての景品表示法上の問題点と留意事項」(平成14年6月5日、平成15年8月29日一部改定。2026年10月12日確認): https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/pdf/100121premiums_38.pdf
- 消費者庁「打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点(実態調査報告書のまとめ)」(2026年10月12日確認): https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_180607_0004.pdf
- 消費者庁「物流の「2024年問題」と「送料無料」表示について」(2026年10月12日確認): https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/other/free_shipping
- 消費者庁「よくある質問」(「送料無料」表示)(2026年10月12日確認): https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/other/free_shipping/faq
- 消費者庁「「送料無料」表示の見直し取組事例」(2026年10月12日確認): https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/other/free_shipping/efforts
- Google検索セントラル「煩わしいインタースティシャルやダイアログを避ける」(最終更新2025年12月18日、2026年10月12日確認): https://developers.google.com/search/docs/appearance/avoid-intrusive-interstitials?hl=ja
フリープランは期限なしで無料。クレジットカードの登録は不要です
無料で始めるほかの記事

カートシステム別、計測タグを貼る場所の一覧|Shopify・BASE・カラーミー・MakeShopほか
Shopify、BASE、カラーミーショップ、MakeShop、futureshop、EC-CUBE、WordPress、Wix、ペライチで計測タグを貼る場所を公式ヘルプで確認して一覧に。貼れない仕組みとカート画面の扱いも説明します。
記事を読む →
離脱防止ポップアップの仕組みと出し方|PCとスマホで「帰りそう」の判定はこう違う
離脱防止ポップアップが「帰りそうな人」をどう見分けるのかを、PCとスマホに分けて解説。戻るボタンを横取りしない理由、出す相手の絞り方、文言、効果の測り方まで。
記事を読む →
カゴ落ちの原因と対策|カートまで来た人を、サイトの中で呼び戻す
カゴ落ちの原因をBaymard Instituteの調査から整理し、送料の見せ方・入力の手間などショップで直せる対策と、カートを見た人が再訪したときにサイト内で呼び戻す方法を解説します。
記事を読む →
ECサイトのマーケティングオートメーション(MA)とは|小さなショップで自動にできること・できないこと
ECサイトのマーケティングオートメーションを「記録する・条件で分ける・自動で出す/送る」の3段で解説。小さなネットショップで最初に自動化する施策と、MAでは自動にできないことも正直にまとめました。
記事を読む →
Shopifyに計測タグを設置する方法|theme.liquidの</head>直前に貼る手順
Shopifyのtheme.liquidに計測タグを貼る手順を、テーマの複製、</head>直前への貼り付け、確認、元に戻す方法まで解説。チェックアウトとサンキューページに届かない理由も説明します。
記事を読む →
メルマガ登録の同意の取り方|ポップアップ・会員登録・購入時に特定電子メール法をどう守るか
メルマガ登録の同意をポップアップ・会員登録・購入画面でどう取るか。特定電子メール法と特定商取引法のオプトイン、チェックボックスの初期値、同意の記録、メールに入れる表示、配信停止の作り方を一次資料で整理します。
記事を読む →