カゴ落ちの原因と対策|カートまで来た人を、サイトの中で呼び戻す

商品をカートに入れたのに、購入までは進まない。ネットショップでいちばんよく聞く悩みの一つが「カゴ落ち」です。カートを「あとで買うかもしれない商品のメモ」として使う人もいるので、すべてを防ぐことはできません。けれども、送料が最後に出てきて驚いた、会員登録を求められて面倒になった、といった理由は、ショップの側で直せます。この記事では、海外の調査で分かっている原因を確かめたうえで、自分のショップで離脱している場所の見つけ方、直す順番、そしてカートまで来た人がもう一度サイトに来たときの呼び戻し方を順に説明します。

更新

カゴ落ちとは何か、どう数えるか

カゴ落ちは、カートに商品が入ったものの、注文の完了まで進まなかった状態を指します。カゴ落ち率は「カートに商品が入った件数のうち、注文に至らなかった割合」で表すのが一般的です。架空の例ですが、1か月にカートへ商品を入れた件数が1,000件、そのうち注文まで進んだのが280件なら、カゴ落ちは720件、カゴ落ち率は72%です。

ほかのショップや調査の数字と比べるときは、二つの点に気をつけてください。一つは数え方がツールごとに違うこと、もう一つは人ではなくカート単位で数えることです。月曜にカートへ入れ、木曜に戻って買った人は、カゴ落ち1件と注文1件の両方に数えられることがあります。他社の平均より、自分のショップの数字が先月より上がったか下がったかを見るほうが役に立ちます。

調査で分かっているカゴ落ちの原因

カゴ落ちの数字としてよく引用されるのが、ECサイトの使いやすさを調べている米国の調査機関Baymard Instituteのカゴ落ち率の統計ページです(最終更新2025年9月22日、2026年10月12日に確認)。50件の調査をまとめた平均のカゴ落ち率は70.22%とされています。おおよそ10件のうち7件は、注文まで進んでいない計算です。

同じページには、米国のネット通販利用者にカゴ落ちの理由を聞いた結果も載っています。いちばん多いのは「見ていただけ・まだ買うつもりがなかった」の42%で、Baymardもこの層はほぼ防げないものとしています。それ以外の、購入手続き中にやめた理由は次のとおりです。

やめた理由(Baymard Instituteの調査。和訳は当社)割合直す場所
送料・税・手数料などの追加費用が高すぎた40%商品ページ、カート、送料の案内
お届けまでが遅すぎた20%配送方法、お届け日の目安
クレジットカード情報を預けるほど信用できなかった19%支払い画面、サイト全体の作り、各種ポリシー
アカウント(会員登録)を作るよう求められた18%購入手続きの入口
購入手続きが長い・複雑だった17%入力フォーム
サイトでエラーが出た・止まった17%実機での動作確認
返品の条件に納得できなかった13%返品ポリシーとその見せ方
合計金額を先に確認・計算できなかった12%カートのページ
クレジットカードが通らなかった10%決済サービス、エラーの文言
支払い方法が少なかった9%支払い方法の種類
分からない7%—
複数回答のため、合計は100%を超えます。米国の利用者を対象にした調査で、日本のショップにそのまま当てはまるとは限りません。原因の見当をつける手がかりとして使い、最終的には自分のショップの記録で確かめてください。

この表は「直すことの一覧」として読めます。多くはページの中の情報や手間の問題です。まずお店を直し、呼び戻しはそのあと、という順番をおすすめします。

対策1:送料と合計金額を、購入手続きの前に見せる

いちばん多い「追加費用が高すぎた」と、別の項目の「合計金額を先に確認できなかった」は、つながっています。送料が購入手続きの最後で初めて出てくると、金額が妥当でも「後から足された」と感じやすくなります。

  1. 価格やカートボタンの近くに、送料の決まりを短く書きます。例: 「5,000円(税込)以上で送料無料。それ未満は全国一律600円」。
  2. カートのページで、送料を含めた合計の目安を見せます。地域で送料が変わる場合は、「お届け先の入力後に確定します」とその旨を書きます。
  3. 送料無料の条件は、帯などで早めに知らせます(送料無料のお知らせはどこに出すか)。

目的は送料を無料にすることではなく、最後の画面で驚かせないことです。

対策2:会員登録なしで買えることを分かりやすくする

18%が「会員登録を求められた」ことを理由に挙げています。会員登録なしで購入できるショップでも、その入口が見つけにくいことがあります。Baymardのアカウント選択画面の調査では、44%のサイトが、会員登録なしで購入する選択肢を必要以上に見つけにくくしていると指摘しています。

  1. 「会員登録せずに購入する」のボタンを、「ログイン」と同じくらい目立たせます。長い登録フォームの下に隠さないようにします。
  2. 会員登録は、注文が終わったあとに「次回から入力を省けます」と案内します。

対策3:入力を短くし、エラーをなくす

「手続きが長い・複雑」と「エラーが出た」はどちらも17%で、同じ問題を別の側から見ていることがよくあります。電話番号のハイフンで弾かれる、住所の自動入力が動かない、クーポン欄を使うと入力が消える、といったものです。月に一度は、自分のスマホで購入手続きを最後まで通し、長い住所や期限切れのクーポンなど、つまずきやすい入力も試してください。

任意の項目を減らす、自動入力が効くようにする、エラーは項目のすぐ横に出す、の3つが基本です。購入手続きの画面はカートシステムの側にあるため、どこまで変えられるかはシステムによって違います。

対策4:支払い・お届け・返品の不安を先に消す

「カード情報を預けるほど信用できなかった」(19%)には、支払い画面の近くに返品ポリシーと問い合わせ先を置き、どの決済サービスで処理するかを書いて応えます。「お届けが遅い」(20%)と「返品の条件」(13%)は、すぐには変えられなくても、最後の画面で初めて知る状態は避けられます。商品ページとカートにお届け日の目安を書き、返品の条件は一文で見える場所に置きます。

自分のショップで、どこで離脱しているかを調べる

自分のショップで何が起きているかは、自分の記録を見ないと分かりません。変える前に、三つの見方で確かめます。

  1. 段階ごとの数字。商品ページの閲覧 → カートに追加 → カートのページ → 購入手続きの開始 → 注文完了、の順に件数を並べ、スマホとパソコンで分けて比べます。スマホだけ大きく減る段階があれば、その画面の作りや入力に原因があることが多いです。
  2. カートのページのヒートマップ。どこまでスクロールされているか、送料のリンクやクーポン欄、「買い物を続ける」がどれだけクリックされているかを見ます。クーポン欄がよくクリックされている場合、コードを探しに外へ出ている可能性があります。
  3. 一人ひとりの行動履歴。カートまで来て買わなかった人の、ページを見た順番を数十人分読みます。「カート → 送料の案内 → カート → 離脱」が続くなら、送料が引っかかっていると見当がつきます。

marketingLABOでは、この三つを同じ計測タグで見られます。ページごとのヒートマップ(滞在時間・スクロール・クリック)、訪問者ごとの行動履歴、流入元・ページ・CVのレポートがあり、「カートまで進んで戻った」といった動きを一人ずつ追えます。アクセス解析・ヒートマップ・行動履歴は、無料のフリープランでも使えます。

一人の動きでは結論を出さず、同じ動きが何人も続くかを見ます。

カートを見た人が戻ってきたら、サイトの中で呼び戻す

お店を直したあとも、カートで離れてあとから戻ってくる人はいます。その再訪のときに、サイトの中で短く「カートに商品が残っています」と知らせるのが、ポップアップバナーの役目です。

ここで、marketingLABOの仕組みを正直にお伝えします。marketingLABOはカートシステムとつながっていないので、カートの中身・金額・商品・注文があったかどうかは読めません。判断に使うのは「その人がどのページを見たか」です。そのため、条件はページのURLで組み立てます。

知りたいことmarketingLABOの設定入れる値の例
カートのページを見た閲覧ページhttps://example.com/cart
購入完了ページは見ていない未閲覧ページhttps://example.com/thanks
別の日にまた来たサイト訪問頻度(○日以内に○回目の訪問 など)7日以内に2回目の訪問
どのページで出すか表示するページURL(前方一致も選べる)トップページ、またはカートのページだけ

組み合わせると「カートのページを見て、購入完了ページは見ておらず、再訪した人に出す」という意味になります。「カートに商品を残して帰った人」にかなり近い条件ですが、同じではありません。違いは後の節でまとめます。

呼び戻しバナーの設定手順

  1. 計測タグを全ページに貼ります。カートのページと購入完了ページにも入っていることが前提です。タグは各ページのheadに入れます。
  2. 二つのURLを調べます。カートのURLと、テスト注文で購入完了ページのURLを控えます。完了ページのURLが注文ごとに変わる場合は、変わらない部分までを前方一致で使えるか確かめます。
  3. バナーを作ります。EC向けテンプレート55種類のうち「カートのお忘れ物」の分類から選び、文言と色を直します。形は「画像だけ」「画像・キャッチコピー・ボタン」「カウントダウン付き」「メール登録フォーム付き」から選べます。
  4. 条件を入れます。閲覧ページ=カートのURL、未閲覧ページ=購入完了ページのURL、サイト訪問頻度=再訪。必要なら表示期間も決めます。
  5. 出す場所とタイミングを決めます。たとえばトップページと商品ページで、数秒たってから、またはある程度スクロールしてから。出し方はモーダルより、帯や画面の隅に浮かべるフローティングが向いています。
  6. 自分で試します。別のブラウザでカートを見て離れ、日をあらためて訪問してバナーが出るか確認します。続けてテスト注文をし、出なくなることも確かめます。
  7. 結果を見ます。施策ごとの表示回数とクリック数を、同じ期間の注文数(カートシステムの管理画面)と並べて比べます。

公開できるポップアップバナーの数は、フリープランで1つ、ライトプラン(月4,800円・税込)で3つ、スタンダードプラン(月9,800円・税込)で無制限です。詳しくは料金をご覧ください。

ページの閲覧で判断するので、できないこと

  1. カートの中身は出せません。「青いジャケットをお忘れではありませんか」とは書けないので、どのカートにも合う文言にします。
  2. 金額で分けられません。2,000円のカートと20,000円のカートに別の内容を出すことはできません。
  3. カートを空にした人も対象になります。カートを見たあと商品を全部消した人も条件に合います。押しつけがましくない文言にしておきます。
  4. 同じブラウザだけが対象です。記録はブラウザ単位です。スマホでカートを見てパソコンで買った人には、スマホで呼び戻しが出ることがあります。
  5. 購入完了ページにタグを入れられない場合。カートシステムの都合で完了ページにタグが入らないと、「購入完了ページを見ていない」が判定できず、買った人にも出てしまいます。事前に確かめてください。
marketingLABOにはカゴ落ちメールの機能はありません。カートの中身を読まないため、「カートに残っている商品」をメールで知らせることはできません。ここで説明している呼び戻しは、本人がサイトに戻ってきたときに出すバナーです。

カゴ落ちメールは、カートシステムの機能で

カートの中身を持っているのはカートシステムなので、カゴ落ちメールはカートシステム側の機能で送るのが自然です。たとえばShopifyのヘルプ(カゴ落ちしたチェックアウトの回収について)では、お客さまがメールアドレスを入力したあと10分を超えて完了しなかったチェックアウトをカゴ落ちとして扱い、購入手続きに戻るリンクの付いたメールを自動で送る設定が説明されています。ほかのカートシステムで同じ機能があるか、どのプランで使えるかは、ご利用のカートシステムのヘルプとプランをご確認ください。

メールは戻ってこない人に、サイト内のバナーはメールアドレスを入れる前に離れた人も含めて戻ってきた人に届きます。届く相手が違うので、両方使っても役割は重なりません。

呼び戻しバナーに何を書くか

強く押すより、離れた理由を取り除く文言のほうが向いています。行動履歴で見つけた理由に合わせて選びます。

行動履歴から見えたことバナーの文言の例
送料の案内を見てから離れている「5,000円以上で送料無料。カートの商品はそのまま残っています」
お届け日を気にしている「14時までのご注文で当日発送」(本当にそうしている場合だけ)
戻ってきたがカートにたどり着かない「前回の続きから」+カートのページへのボタン

クーポンを自動で出すのは慎重に。カートを見た人全員に割引を出すと、わざとカートに入れて待つお客さまが出てきます。まずは割引なしの文言で試してください。カウントダウンを使うなら、本当の締め切りにだけ使います。

邪魔にならない出し方を選ぶ

戻ってきた人の前に、着いた瞬間モーダルを出すとカートへの道をふさぎます。帯か、画面の隅の小さなバナーにし、カートへのボタンを付けるのが基本です。Google検索セントラルの煩わしいインタースティシャルやダイアログを避けるでも、ページ全体を覆うものではなく、画面のほんの一部だけを覆うバナーを使うよう勧めています。モーダルを使うなら、離脱しようとしたときの表示に回します。marketingLABOでは、パソコンはマウスが画面の上端から出たとき、スマホはある程度読んだあとに素早く上へスクロールしたときに出ます。

よくある質問

カゴ落ち率はどのくらいなら良いのですか?

Baymardがまとめた平均は70.22%ですが、商材や数え方で大きく変わります。自分のショップの数字を同じ数え方で月ごとに比べるほうが確実です。

カートに入っている商品名をバナーに出せますか?

marketingLABOではできません。カートの中身や金額を読まないためです。商品名を入れた案内は、カートシステムのカゴ落ちメールなど、カートのデータを持っている仕組みで行ってください。

すでに購入した人にバナーが出ませんか?

購入完了ページを「未閲覧ページ」に入れておけば、同じブラウザで完了ページを見た人には出ません。完了ページにタグが入っているか、必ず試し注文で確かめてください。別の端末で購入した場合は判定できません。

まずは無料で登録してタグを貼り、カートのページのヒートマップと行動履歴を見るところから始めてみてください。送料の伝え方については送料無料のお知らせはどこに出すかもあわせてどうぞ。

参考にした資料

  1. Baymard Institute「Cart Abandonment Rate Statistics」(最終更新2025年9月22日、2026年10月12日確認): https://baymard.com/lists/cart-abandonment-rate
  2. Baymard Instituteのアカウント選択画面のデザイン例(2026年10月12日確認): https://baymard.com/ecommerce-design-examples/48-account
  3. Shopifyヘルプセンター(カゴ落ちしたチェックアウトの回収)(2026年10月12日確認): https://help.shopify.com/ja/manual/orders/abandoned-checkouts
  4. Google検索セントラル「煩わしいインタースティシャルやダイアログを避ける」(最終更新2025年12月18日、2026年10月12日確認): https://developers.google.com/search/docs/appearance/avoid-intrusive-interstitials?hl=ja

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