初めての人とリピーターで出すものを変える|訪問回数・前回からの日数の使い方

はじめてショップを見る人と、今週4回目の訪問になる人とでは、知りたいことがまったく違います。前者はお店が信用できるかを、後者は買うかどうかの最後のひと押しを求めています。 それなのに、すべての人に毎回同じ「初回限定クーポン」を出していないでしょうか。この記事では、訪問回数と前回の訪問からの日数を使って、初めての人とリピーターで 出すものを変える方法を説明します。あわせて、サイトが「同じ人」を見分ける仕組みと、その限界も正直に書きます。

更新

全員に同じものを出すと起きること

多くのショップでは、会員登録の特典やクーポンのポップアップが、すべての訪問者に毎回表示されています。初めての人にとっては意味のある案内でも、2回目、3回目と同じものが出ると、読まずに閉じる習慣がついてしまいます。すでに会員の人に「初めての方へ」と出し続けるのは、お店がお客さまを覚えていない、と伝えているのと同じです。

訪問の履歴は、出し分けに使えるいちばん手軽な手がかりです。名前やメールアドレスが分からなくても、「このブラウザは前に来たことがあるか」「最近どれくらい来ているか」「前回からどれくらい空いたか」が分かれば、ふさわしい内容はかなり変えられます。

サイトは「同じ人」をどう見分けているか

サイトから見えるのは人ではなく、ブラウザです。計測タグを使うツールは、最初の訪問のときにブラウザへCookieなどの目印を保存し、次に来たときにその目印を読んで「前にも来たブラウザ」と判断します。marketingLABOの計測タグも、ブラウザに保存したCookieで訪問者を見分けています。そのため、次のような場合は同じ人でも別の人として扱われます。

場面起きること
スマホで見て、PCで買う2台の端末は別々の訪問者になる。PCでの訪問は「初回」になる
同じ端末で別のブラウザを使うブラウザごとに別の訪問者になる
プライベートブラウズで見るブラウザを閉じると目印が消え、次は初回扱いになる
Cookieなどのサイトデータを消したそれまでの履歴とのつながりが切れ、初回扱いになる
Safariでしばらく訪問がない下で説明する仕組みにより、目印が消えて初回扱いになることがある

Safariの仕組みについて、WebKitの公式ドキュメント「Tracking Prevention in WebKit」は、Intelligent Tracking Prevention(ITP)が、JavaScriptで作られたCookieと、スクリプトから書き込めるその他の保存領域を、そのサイトでのユーザー操作がない状態が7日続いたあとに削除すると説明しています。また、プライベートブラウズは、タブを閉じたりブラウザを終了したりすると、Cookieなどが残らない仕組みだと書かれています。

このため、Safariで見ている人が長く間を空けて戻ってきた場合は、リピーターではなく初めての人として扱われることがあります。後で紹介する「30日ぶり以上の訪問」のような条件は、Safariの訪問者には当てはまりにくい、と考えておくのが安全です。

「初回」は「見分けられる範囲で初めて」、「リピーター」は「このブラウザが前に来たと分かる人」という意味です。見分けを間違えた相手に表示されても失礼にならない内容にしておくことが、出し分けのいちばん大切な考え方です。

marketingLABOで使える訪問の条件

marketingLABOのポップアップバナーには、「サイト訪問頻度」という条件があります。管理画面では次の3つから選びます。

条件選べる値使いどころ
初回最初の訪問だけ会員登録の特典、お店の紹介、初回購入のクーポン
○日以内に○回目の訪問期間は3・7・14・30・60日、回数は2・3・5・10回目。「以上」にチェックすると、その回数以降も対象短い間に何度も来て迷っている人
○日ぶり以上の訪問30・60・180・360日しばらく空いて戻ってきた人

訪問の条件は、ほかの条件と組み合わせられます。表示するページのURL(前方一致を含めることもできる)、閲覧ページ(見たページ)、未閲覧ページ(まだ見ていないページ)、アクセス元(パラメータ・自然検索・リファラー・直接アクセス・直接入力)、表示期間です。1つの組の中の条件はすべてに当てはまる人に表示され、「OR」で別の組を足すと、どちらかに当てはまる人に表示されます。

表示のきっかけは別に決めます。最初から表示、ページの○%までスクロールしたら表示、ページの滞在時間が○秒を超えたら表示、ユーザ離脱時にモーダルで表示、の4つです。「誰に」を訪問の条件で、「いつ」をきっかけで決める、と覚えておくと設定しやすくなります。

段階ごとに出すものを決める

設定の前に、訪問者を段階に分けて、それぞれに何を伝えるかを書き出します。小さなネットショップの例を表にしました。扱う商品や、お客さまが買うまでにかかる日数に合わせて直してください。

段階知りたいこと出す内容条件の例
初めての訪問どんなお店か、信用できるか会員登録の特典、送料と返品の基本初回
数日のうちに戻ってきた買うかどうかの決め手初回購入のクーポン、レビューやサイズの案内7日以内に2回目の訪問(以上)
短い間に何度も来ている迷っている点の答えよくある質問、問い合わせ先、送料無料の条件14日以内に5回目の訪問(以上)
1か月以上空いて戻ってきた前と何が変わったか新商品、再入荷、開催中のセール30日ぶり以上の訪問

ポイントは2つです。1つ目は、関心が高まるほど内容を具体的にすることで、値引きを大きくすることではありません。訪問のたびに割引を増やすと、待てば得をすると覚えられてしまいます。2つ目は、段階が進んだ人には前の段階の表示を出さないことです。何度も来ている人に、初めての人向けの案内を出し続けないようにします。

設定例1:初めての人に会員登録の特典を出す

  1. 条件:サイト訪問頻度を「初回」にします。
  2. ページ:商品ページの共通部分(例:/products/)を入れて前方一致にするか、トップページと一覧ページを対象にします。
  3. きっかけ:最初から表示ではなく、スクロールか滞在時間にします。まず商品を見てもらってから出します。
  4. 形:画面の隅に浮かべるフローティングか、小さいモーダル。内容は会員登録の特典と、送料・返品の1行の案内です。
  5. 端末:スマホでは小さく出します。Googleは「画面のほんの一部だけを覆うバナー」の使用を勧めています。

条件を「初回」にしておけば、次の訪問からは表示されません。同じ特典を何度も見せない、いちばん簡単な方法です。メール登録の文言や特典の決め方は、メール登録ポップアップの作り方で詳しく説明しています。

設定例2:2回目以降の人に初回購入クーポンを出す

数日のうちに戻ってきた人は、ほかのお店と比べている最中のことが多い相手です。ここで初回購入のクーポンを出すと、決める理由になります。

  1. 条件:「7日以内に2回目の訪問」にして、「以上」にチェックを入れます。
  2. 条件を足す:閲覧ページに商品ページの共通部分を入れ、商品を見たことがある人に絞ります。
  3. 条件を足す:未閲覧ページに購入完了ページのURLを入れ、すでに買った人を外します。
  4. 内容:クーポンの対象・最低金額・有効期限を短く書きます。
  5. きっかけ:滞在時間にして、少し見てから出るようにします。

高額な商品や、買うまでに時間がかかる商品なら、「30日以内に3回目の訪問」のように期間を長くします。決める前に、購入した人の行動履歴を何人分か開いて、実際に何日のあいだに何回来ているかを見ておくと、根拠のある数字にできます。

設定例3:カートを見て戻ってきた人に声をかける

  1. 条件:閲覧ページにカートページのURLを入れます。
  2. 条件を足す:未閲覧ページに購入完了ページのURLを入れます。
  3. 条件を足す:「7日以内に2回目の訪問」で「以上」にチェック。買い物の途中ではなく、戻ってきたときに出すためです。
  4. 内容:「カートに商品が残っていませんか」と、カートページへのリンク。
  5. 形:フローティング。邪魔をするのではなく、思い出してもらうための表示です。

marketingLABOの計測タグはカートの中身や金額を読み取らないので、商品名や合計金額をバナーに入れることはできません。文言は一般的な言い方にします。カゴ落ちの原因と対策はカゴ落ちの原因と対策で詳しく解説しています。

設定例4:しばらく空いて戻ってきた人に新商品を見せる

  1. 条件:「30日ぶり以上の訪問」にします。
  2. ページ:トップページと商品一覧ページ。
  3. 内容:新商品、再入荷、開催中のセールと、その一覧ページへのリンク。
  4. きっかけ:滞在時間か短いスクロール。トップページを先に見てもらいます。
  5. 必要なら、「180日ぶり以上の訪問」の人向けに、お店の近況をまとめたバナーをもう1つ作ります。

前に書いたとおり、Safariで長く間を空けた人は、この条件ではなく「初回」に当てはまることがあります。初めての人向けのバナーも、久しぶりの人が見て違和感のない内容にしておきましょう。

訪問の条件とアクセス元を組み合わせる

アクセス元は「どこから来たか」、訪問の条件は「どれくらいお店を知っているか」を表します。組み合わせると、相手をさらにはっきり分けられます。

組み合わせどんな人か内容の例
初回 × 自然検索検索でお店をはじめて知った人お店の紹介と、会員登録の特典
初回 × パラメータ(広告のURL)広告を見て来た人広告で約束した特典を、そのまま見せる
7日以内に2回目以上 × 直接アクセスブックマークなどから戻ってきた人初回購入のクーポン
30日ぶり以上 × パラメータ(メルマガのURL)メルマガから久しぶりに来た人メルマガで案内した特集の続き

広告やメルマガで特典を約束した場合は、訪問回数より約束を優先します。来てみたら別の特典が出た、という食い違いは信用を損ないます。

同じ人に複数のバナーが重ならないようにする

条件を細かく分けていくと、1人の訪問者が複数のバナーの条件に当てはまることがあります。たとえば「7日以内に2回目以上」と「カートを見た人」は、同じ人に同時に当てはまりえます。バナーを作ったら、段階表に戻って、同じページで同じ人に2つ以上が出る組み合わせがないかを確かめます。重なる場合は、ページを分けるか、未閲覧ページの条件で片方から外します。

marketingLABOには、バナーごとの表示回数の上限を決める設定や、バナーのA/Bテストはありません。何回も見せないための工夫は、訪問の条件と未閲覧ページの条件で行います。

効果の見方

  1. バナーごとの表示数とクリック数を見る。段階ごとに、表示されている人数とクリックの割合を比べます。
  2. 本来の目的の数字を見る。会員登録の数、クーポンが使われた注文の数など、バナーの目的だった数字を公開前と比べます。
  3. 行動履歴で流れを見る。何人かの訪問者を開き、何回目の訪問でどのバナーを見て、そのあとどう動いたかを確かめます。
  4. 再訪をマイクロCVとして数える。マイクロCVには再訪を設定できるので、初回のバナーが2回目の訪問につながっているかの目安になります。

訪問者を見分けていることは、きちんと伝える

訪問の出し分けは、ブラウザに保存した目印を使います。使っているツールと目的は、プライバシーポリシーに書いておきましょう。総務省は、電気通信事業法の外部送信規律について、ニュースサイトなど各種情報をオンラインで提供するホームページの運営は対象になる一方、自社商品等のオンライン販売のホームページ運営は電気通信事業に当たらず対象にならない、と説明しています。読みものを多く載せている場合など、自分のサイトがどちらに当たるかは、総務省のページで確かめてください(この記事は法的な助言ではありません)。marketingLABOには同意管理の機能はないため、同意の取得が必要な場合は別のツールで用意してください。

文言の面でも配慮が要ります。「おかえりなさい」は親しみやすい一言ですが、「先週見ていた○○はいかがですか」のように閲覧した内容を細かく書くと、見られているような不快感を与えることがあります。

よくある失敗

  1. 「初回」を「新規のお客さま」と思い込む。新しいスマホに替えた常連も初回になります。常連が見ても失礼でない文言にします。
  2. 初回向けの特典を毎回出す。条件を「初回」にしておけば防げます。
  3. 来るたびに割引を大きくする。待てば得をすると覚えられます。割引は一定にし、迷っている点に答えるほうを先にします。
  4. 買ったばかりの人を外し忘れる。未閲覧ページに購入完了ページを入れます。
  5. 期間や回数を勘で決める。購入した人の行動履歴を見てから決めます。

設定前のチェックリスト

  1. 段階ごとに、出す内容を1つずつ書き出した
  2. 初めての人向けの特典は「初回」の条件にした
  3. リピーター向けの期間と回数は、実際の行動履歴を見て決めた
  4. 久しぶりの人には、初回向けではなく新しい情報を出す
  5. 購入完了ページを見た人を、クーポンの対象から外した
  6. 同じページで同じ人に2つ以上のバナーが出ない
  7. 見分けを間違えた相手に出ても、失礼にならない文言になっている
  8. プライバシーポリシーに、使っているツールを書いた

よくある質問

スマホとPCの同じ人を、同じ訪問者として扱えますか?

サイトの閲覧だけでは扱えません。ブラウザごとに別の訪問者になります。フォームやメール登録でメールアドレスを預かった人には、メールでなら端末に関係なく届けられます。

「7日以内に2回目」と「30日ぶり以上」は何が違いますか?

前者は最近どれくらい来ているかを見る条件で、比べている最中の人に向いています。後者は前回からどれくらい空いたかを見る条件で、久しぶりに戻ってきた人に向いています。

リピーターにはもっと大きな割引を出すべきですか?

たいていは必要ありません。リピーターはお店をすでに知っているので、迷っているのは値段よりも、サイズやお届け日、返品の条件であることが多いものです。案内で答えられることを先に出します。

有料プランでないと使えませんか?

訪問の条件は、バナーの設定の一部なので、フリープランでも使えます。公開できるバナーの数は、フリープランで1つ、ライトプランで3つ、スタンダードプランで無制限です(料金)。メールを使ったシナリオ配信(ジャーニー)はスタンダードプランの機能です。

まとめ

訪問回数と前回からの日数を使うと、初めての人には会員登録の特典、戻ってきた人には初回購入のクーポン、久しぶりの人には新商品、と出すものを分けられます。ただし、見分けているのはブラウザなので、端末やブラウザが変わると別の人になり、Safariでは長く空くと初回扱いになることもあります。見分けを間違えても困らない文言にしておけば、出し分けは強い味方になります。無料で登録して、まずは「初回」の条件でバナーを1つ作ってみてください。出し方の基本はスマホのポップアップはSEOに不利?でも紹介しています。

参考にした資料

WebKit「Tracking Prevention in WebKit」(2026年10月12日閲覧)

総務省「自分に関する情報が第三者に送信される場合、自身で確認できるようになります。」(外部送信規律)(2026年10月12日閲覧)

Google検索セントラル「煩わしいインタースティシャルやダイアログを避ける」(最終更新2025年12月18日、2026年10月12日閲覧)

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